挨 拶


鴻巣少年剣道会
第2代主宰 諏訪宜之

 本日はご多用の折り、多くのご来賓ならびに関係各位のご臨席を賜り、鴻巣少年剣道会創立55周年記念錬成大会を挙行できますことに大変大きな喜びを抱きながら、皆さまに心より深く感謝申し上げます。本来であれば5年前に創立50周年記念式典を予定しておりましたが、皆様もご承知のとおり世界中を襲ったパンデミックにより中止を余儀なくされました。順延の検討もしましたが、その収束には想像以上の長い年月がかかりました。60周年を待つことも考えましたが、会としての歴史の節目を刻むということのみならず、支えていただいている皆様に感謝の意を表するためにも今回の55周年記念大会はとても重要であると考え、少数精鋭で実行委員会を立ち上げ、多くの皆様のご協力をいただきながら開催に至りました。

 さて、先代より引き継ぐこと15年。多くの子どもたち、多くの剣友と接する中で、様々な事象を経験しながら人生勉強をさせていただきました。剣道の本質である、活かし活かされる精神は、人として生きて行くうえでとても大事なことと捉えており、また同時にそれは日本人としての美徳であるとも感じております。個の主張が過度に擁護される風潮にある昨今、自己の主張だけではなく、互いに認め合うことでより良いものを生み出すことができると信じており、今後も剣道を通じて子供たちには『人と和すること』を伝えて行きたいと考えております。多くの剣友と交わるその中で、自身を活かされていることに感謝しつつ相手を活かすことができれば、それは唯一無二な素敵な関係になれると思います。

 『振り返り見れば未だ山麓』という言葉を先代はよく口にしておりましたが、ここへ来て私にもその意味が何となく分かったような気がいたします。『剣の道』に終着は無く、生涯をかけた人間形成の道であると、改めてそう感じる次第でございます。私がそう感じることができるのも、支えてくださる皆様のお陰に他ならないと感謝申し上げます。先代から変わることなくご支持いただいている諸先生方はもちろん、私の代となってからも志を共にしていただける先生方がお支えいただけているからこそ私は自身の信念を頑なに貫くことができております。

 多くの子供たちをお預かりする以上、私には大きな責任があると感じています。将来社会に出てから、剣道での教えが役に立ち、周囲と共生を図りながら立派な大人へと成長してもらいたい。そう願いながら、微力なりに人間形成のお手伝いをさせていただいていると自負しております。子供たちにとって無駄な経験などひとつも無いと信じております。これからもたくさんの喜怒哀楽を経験してもらい、心豊かな『人』になってもらいたいと切に願います。また鴻少剣は『強い選手を育てる道場』ではなく、『心豊かな剣士を育てる道場』でありたいと思います。この先60周年に向け、引き続き皆様のご理解とご協力を賜りながら、私自身道半ば、子供たちと共に成長して参る所存です。本日は誠にありがとうございます。